クロユリハゼの休日

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#101 新薬師寺と奈良市写真美術館

f:id:kuroyurihaze:20200627225427j:image薬師寺はシンプルなお寺だった。目立つ建築物は美しい瓦屋根を待つシンメトリーな本堂がひとつ。堂内の中心に天武天皇の病気平癒を祈願する薬師如来坐像が鎮座し、十二神将の塑像がぐるりと外向きに円陣をつくり、守りを固めて立っている。仏像の配置もシンプルに美しい。これらの仏像を決して出しゃばることのないハイセンスな照明で演出していた。最近の博物館や美術館は照明による演出が格段の進歩を遂げているように思うが、寺院内部の照明でここまで演出効果を上げているところは他にあるのだろうか。いろんな面で、昔観た東大寺法華堂の堂内と対照的だった。

f:id:kuroyurihaze:20200627225446j:image薬師寺のシンプルさに共鳴するような建築物が隣接する奈良市写真美術館。新薬師寺の瓦屋根を邪魔しない背丈の瓦屋根がすらりと横に伸びている。庭の中でくつろぐ鹿の背丈に調和する景観だ。

美術館では石川直樹写真展が開催されている。エベレストとK2登山の遠征時の写真が展示されていた。今日、この美術館に行ったのはこれらの山岳写真を観たくなったから。入江泰吉による大和のカラー写真は石川直樹の写真と対照的。セットで観ることができて、思いのほか印象に残った。f:id:kuroyurihaze:20200627225505j:image