京都嵐山に昨年開館した福田美術館。伊藤若冲の特別展を観に行った。その中での注目は『四季花鳥押絵貼屏風』。カラス、タカ、オシドリ、そして〝小禽〟と一括りにされる小鳥に混じってハトが水墨で描かれている。
このようなポーズで描かれるハトは他に類型あるのだろうか。今までに観た覚えがなく釘付けになった。さらっと描かれているようで、その筆致や質感はハトの特徴を絶妙に表現している。花はモクレンで、こちらもハトの筆致に意図的に合わせているとしか思えない表現でお見事。
若冲といえば〝鶏〟。本展でもニワトリづくしの『群鶏図押絵貼屏風』が展示されている。こちらも水墨画だが、どのニワトリ(特にオス)も精妙を極めた若冲ならではの筆致で息がつまるほど。
二つの押絵貼屏風は別々の展示室にあったので何度も行き来して見くらべた。どちらも保存状態が良く若冲の水墨画の魅力が集約されているが、のびやかさという点で今回は『四季花鳥押絵貼屏風』に軍配をあげたい。
ニワトリ以外の鳥にも焦点を当てた『四季花鳥押絵貼屏風』、ハト以外の鳥ももちろん〝おもしろい〟。 ↑オシドリ
〝おもしろい〟は〝うれしい〟のだ。
※一部の作品を除き、写真撮影OKです。