クロユリハゼの休日

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#139 ニコライ・カプースチン[1937-2020]

TV番組の追悼企画で知った作曲家・ピアニスト。

〝ジャズとクラシックの融合〟との触れ込みだったのでアメリカ人と思いきや、ロシアの人。ソ連時代のモスクワ音楽院出身でアシュケナージと同期だという。アシュケナージと違っているのは、音楽院卒業後にジャズバンドに所属したこと。驚いたことに、米ソ冷戦時代にもかかわらずソ連に〝国立〟のジャズバンドがあったのだ。(そういえばショスタコービチにもジャズ風の曲があったっけ。)

カプースチンピアノ曲は僕が聴く限り〝ジャズ〟である、超絶技巧の。但し、カプースチンの曲は即興ではなく全て完璧な譜面として作曲されている。いわゆるクラシックのピアノ曲と同じく、カプースチン以外のピアニストは譜面通りに弾いてカプースチンの〝ジャズ〟を再現できるわけだ。(辻井伸行もアンコールでカプースチンの曲を弾いている。)

TV映像ではカプースチンの自筆譜が映されていた。細かい音符が無数に繰り出されているというのに、まるで出版譜のような美しさ、丁寧さ。出版譜があるので、複数の演奏CDが発売されている。f:id:kuroyurihaze:20201024000055j:image

 

ジャズピアノの即興演奏というと、昔、キース・ジャレットのライブ盤を買ってよく聴いていた。f:id:kuroyurihaze:20201024000249j:image↑これはレコード三枚組のライブ盤。ピアノ・ソロの本当の即興演奏なので冗長に聴こえる部分があるのは致し方ない。キース・ジャレットには他に〝ケルン・コンサート〟というライブ盤があった。(こちらの方が冗長さが少ない。)

キース・ジャレットのことを思い出していたら、ちょうど新聞記事が…。f:id:kuroyurihaze:20201024001132j:image

…そうだったのか。

 

Amazonカプースチンピアノ曲を探して、一番価格の安いCDを買ってみると…。

懐かしの〝ナクソスNAXOS]〟レーベルだった。

メジャー・レーベルのクラシックCDが3,000円前後だった頃、東欧の地方オケや実力はあるがスターではない演奏家を登用して、あらゆるクラシック曲を廉価に普及することを目指した香港を拠点としたレーベル。経営者はドイツ人のようで、MADE IN GERMANY だ。

 

専ら車の中で運転中に聴いているカプースチン。1980年代に作曲されたピアノ・ソロのための計32曲。やっぱり僕はジャズとして聴いている。冗長さのない即興ジャズのように…。f:id:kuroyurihaze:20201024002907j:image