初登山は生駒山。東大阪市の辻子谷(ずしだに)沿いの道は行基が創建したと伝わる山寺、興法寺への歴史ある参道だった。
この谷、かつては豊富な水を利用した水車が数十基もあったという。何のための水車かというと、漢方薬や香辛料の粉末製造の動力として用いられたとか。昭和54年に最後の一基が姿を消したが、地元の人達が三十年がかりで復元した一基が回っていた。
今でも製薬工場は残っていて、側を通ると漢方薬のいい匂いがする。とても気持ちが落ち着く匂い。こんな〝におい〟を楽しめる登山は珍しい。
参道の名残りか、お地蔵さんが数十メートルおきにあり、単調な舗装道も退屈せずにすむ。山寺を経て、少し登ると府営ぬかた園地のエリアに入る。山頂への最短ルートは通行禁止になっていたので、大阪市のビル群を真西に見下ろして遊歩道を進み、南からまわりこんで冬季休業中の生駒山上遊園地に着いた。放送局の電波塔が林立し、遊具と混在する不思議な場所。
さてと、
お化け屋敷があるはず。大学生の頃知り合った京都の学生が、夏休み中お化け屋敷のバイトをしていると言っていた。(もちろん、お化け役で。)
ありました。
そして、
園内に生駒山頂三角点があるというので探してみると……。
三角点はミニSLの敷地内。駅名板に〝頂上〟とは…。ここにミニSLを配置した設計者はどんな方だろう…。
枚岡公園に下山する予定だったが、駅名板の[おおさか←頂上→なら]を見て考えが変わった。
〝奈良側に下ろう。〟
ケーブルの索道に沿った階段を下る。途中、宝山寺というお寺からは門前町の長い階段の参道。例年なら初詣客で賑わうのだろうが、参道を下るほどに人影はまばらに。石畳の階段が終わると、まもなく生駒駅に到着した。
[行動時間4時間]
↑ぬかた園地から。霞んでいるが、大阪市のビル群と六甲山が見える。