クロユリハゼの休日

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# 183 〝絵本が人と人をつなぐ場に〟

昨晩のニュース番組で、生前のエリック・カールさんの願いを伝えていた。

 

〝絵本が人と人をつなぐ場に〟

 

支援学校では、〝はらぺこあおむし〟をはじめとするエリック・カールの絵本はあちこちのクラスに置かれていた。僕が関わった子どもの一人に、エリック・カールの絵本だけを探し出す能力に長けた男の子がいた。彼はこの絵本作家の名前も知らないだろうし、文字を読むこともない。純粋に色彩や作風からエリック・カールの作品を察知して数ある絵本から見事に取り出していた。

彼はエリック・カールの絵が好きすぎて(?)、絵本のページを破ってしまうという〝癖〟があった。…なので、あちこちのクラスのエリック・カールの絵本がセロテープでつぎはぎだらけに…。(そもそも、エリック・カールの原画自体がコラージュなのだけれど。)

 

どうも彼は、エリック・カールの絵本を破ることで大人とのコミュニケーションをとっていた節があった。(バレるといつもニコニコしていたから…。)

 

それはさておき。

〝絵本が人と人をつなぐ場に〟


ある時、小学部の女の子とラックにあった絵本を一緒に読んだ。(エリック・カールではありません。)僕は初めて手にとる本。ページが進むにつれ、ゾウやカバなどの動物たちが積みあがっていく。すると、女の子が何か叫びながら僕の膝に何度も飛び込んできた。本を押さえ込むので次のページにいけない。
なんとかページをめくると、動物たちが崩れて水にバシャーンと飛び込むシーンだった。

彼女は、次の場面を期待してストーリーを楽しんでいたのだ。そして何度も〝バシャーン〟と一緒に言いながら楽しんだ。

 

支援学校ではいろんな絵本に出会った。子どもたちは、好きな絵本は何度もリクエストして何度でも楽しめる。それは一人で読むのではなく、大人と、あるいは友だちと、絵本のストーリーや場面を共有し、楽しむ時間を共有するからだったと思う。

そうした経験が、絵本のストーリーだけでなく、人生のストーリーを豊かにしていく。

子どもも大人も関係なく。

 

〝絵本が人と人をつなぐ場に〟

 

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※〝はらぺこあおむし〟がアメリカで出版される時、引き受ける印刷業者がなかったそうだ。(なにせ、ページに虫喰いの穴を空けないといけない。)

初版本の印刷・製本は日本の会社が引き受けたという。