クロユリハゼの休日

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# 185 みるく世の謳

6月23日は沖縄慰霊の日。

沖縄全戦没者慰霊追悼式で〝平和の詩〟が作者本人によって朗読された。今年は宮古島の中学生の詩、〝みるく世(ゆ)の謳(うた)〟。夕刊一面には全文が掲載されている。

かなり長文の構成詩で、TVニュースでは〝みるく世ぬなうらば世や直れ〟(平和な世の中になってみんなの暮らしが良くなりますように)の民謡部分を朗読ではなく節をつけて唄っている場面が放映されていた。この中学生のおじいが三線で唄っていた中でも好きな一節だという。

 

キューバダイビングを始めてから、沖縄には毎年のように通った。そして、沖縄を知るための場所を必ず行程の中に入れてせっせとまわった。ガマや慰霊碑、戦跡や基地、グスクや御嶽、伝統工芸、美術館、博物館、沖縄がテーマの映画やアトリエなど。沖縄戦の際、伊江島から本部半島まで泳いで逃げたという高齢のタクシードライバーに偶然出会ったこともある。平和の礎では、ダイビングで訪れる座間味島水納島戦没者の名前を追ったり…。

こうした沖縄の旅をするときの自分なりのテーマが、今日朗読された〝みるく世の謳〟のテーマと重なっていると感じた。このテーマに突き動かされて辺野古や読谷に行き、那覇ラソンにも参加していた気がする。

民謡〝〝みるく世ぬなうらば世や直れ〟〟はそもそもは豊作を願う唄。中学生の詩の一節〝この暮らしを忘れないで〟とは、豊作を願う日常でもある。

 

沖縄をテーマに創作をした版画家、儀間比呂志さん。彼の創作テーマも〝みるく世の謳〟に重なる。

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二ヶ月前、儀間比呂志さんの版画を入手した。〝朝〟というタイトルのこの作品、畑で働く女性が早朝の収穫を終えた場面だろうか。〝この暮らしを忘れないで〟という儀間比呂志さんの声が聞こえてくるような作品。

毎朝、起床して必ず見る場所に飾ってある。朝日に照らされた芯のある作品を見ると、気持ちがシャキっとする。

沖縄慰霊の日だけでなく、沖縄を想うことが日常に。f:id:kuroyurihaze:20210623211740j:image

 

〝みるく世の謳〟全文↓

https://news.yahoo.co.jp/articles/21b60983297869bf820c2703f8353165654b2b99