クロユリハゼの休日

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# 264 〝ノグチゲラ〟と〝陶工〟

大阪に住みながら終生、故郷沖縄の風土や沖縄戦をテーマに作品を創作した版画家、儀間比呂志(1923-2017)。彼のことはなぜか子どもの頃から知っていた。たまたま2016年に彼のお孫さんと同勤したのをきっかけに作品や著作を購入し、その翌年、儀間比呂志さんは亡くなられた。

 

生誕100年の節目に、儀間さんと親交があり、彼のアトリエのあった大阪狭山市内のギャラリーから〝儀間比呂志木版画展〟の案内がきた。おそらく地元ではこれが最後の展覧会かと思い、初日に見に行った。

ギャラリーのオーナー佐々木さんから儀間さんについていろいろお話を聞かせて頂いて、まだ額装もされていない刷られた時の姿のままの木版画二点を購入した。どちらの作品も裏彩色されて美しく温かい。

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〝陶工〟は那覇、壺屋焼の陶工の姿を描いたもの。首を傾げて初々しく、そして熱心に壺を制作する若者の姿が良い。背後のシーサーが若者を見守っているかのよう。四つ切りより少し小さいくらいのサイズ。

那覇市壺屋は少し散歩で通り過ぎた程度であまり印象に残っていない。ギャラリーの佐々木さんのお話では、昔はかなりディープな沖縄らしい雰囲気があったそうだ。

壺屋焼といえば、我が家にも沖縄旅行の際に買った小皿がある。f:id:kuroyurihaze:20240810224007j:imageうろ覚えだが、壺屋焼の人間国宝、金城次郎さんの女性の縁者の作品と販売の方が話していた。改めて小皿の裏を見ると、〝須〟の刻印が…。どうやら金城次郎の長女、須美子さんの手によるもののようだ。f:id:kuroyurihaze:20240810231019j:image

 

木版画、もう一枚。〝ノグチゲラ〟という小品。f:id:kuroyurihaze:20240810224833j:imageノグチゲラはキツツキの仲間で、沖縄本島北部〝やんばる〟に生息する日本固有種、絶滅危惧種だ。琉球の女性がノグチゲラと向かい合うかのように配置され、渦や三角の背景が女性のデザインと共鳴する構図。

二作品ともギャラリーで額装してもらい、〝陶工〟はダイニングに、〝ノグチゲラ〟は階段の壁に飾った。f:id:kuroyurihaze:20240810231257j:image

 

※ 我が家の儀間作品、木版画

f:id:kuroyurihaze:20240810230242j:image↑ 〝ふたり〟この作品にも小鳥。

f:id:kuroyurihaze:20240810230355j:image↑ 〝朝〟働く沖縄の女性たち。

 

f:id:kuroyurihaze:20240810230518j:image↑タイトルなし。壺を抱く女性。