クロユリハゼの休日

やま とり うた みる きく よむ うみ など

#68 知花くららさんと短歌

短歌に夢中のくららさん。歌人永田和宏さんの弟子となって短歌にまつわる対談を週刊誌上で連載した。その単行本が「あなたと短歌」、短歌の入門書としても読める本。

その中の第四章、〝くららの好きな歌十首〟で選ばれた一首が心に引っかかった。

石垣島万花艶ひて内くらきやまとごころはかすかに狂ふ           馬場あき子

やまとんちゅ(本土の人)が沖縄をうたに詠むことはハードルが高いと永田さんは言う。沖縄をどう考え、どう伝えるかは本当に難しいとくららさんも言う。だから、沖縄を詠ったうたは少ないようだ。

沖縄の経験や歴史を知れば知るほど持つ、〝沖縄に対するかすかな罪の意識のような、ある種の違和感〟をこのうたは表現している、と永田さんは言う。馬場さんは〝やまとごころはかすかに狂ふ〟と詠った。

この感覚、僕にもある、と思った。沖縄へは何度も遊びに行っているが、他の県に遊びに行く時とは違った感覚を持って行く。遊び以外のテーマを常に抱えて行く感覚とでもいうか。だからこそ行く、という何かがあるのだ。

そもそも、この本を買ったのも、くららさんが沖縄出身の方と知っていたからこそと思えなくもない。くららさんの〝沖縄〟を探りたいという気持ちがどこかにある。そして、くららさんは、まさに、馬場あき子さんが沖縄を詠んだうたを選んでいた。

 

僕にも沖縄を詠ったうたがある。

・ちんすこう買いて見上るオスプレイそうかここでは日常なのか

那覇の中心部、国際通りで見上げたオスプレイ水納島伊江島ではオスプレイは普通に飛んでいるが、ここでこの低空、と不意をつかれた。

 

 

「あなたと短歌」の第一章は、〝歌を詠むと人生は豊かになる〟です。f:id:kuroyurihaze:20200424221314j:image