クロユリハゼの休日

やま とり うた みる きく よむ うみ など

#74 シンボルツリー

お墓まいりのついでに、公園墓地に隣接する〝ふれあいの森〟を一巡する。里山保全を目的に生まれた〝ふれあいの森〟。この森にシリブカガシの老大木が東と西に二本ある。この森を象徴する木、地元では〝いっちん〟の木と呼ばれてきた。

里山の木として親しまれてきた〝いっちん〟の木。かわいらしい名前の由来が説明板にあった。昔、里の人々はこの木のどんぐりを炒って食べたことから〝いっちん〟の愛称がついたという。この森にくると、〝いっちん〟に会いたくなる。f:id:kuroyurihaze:20200501202511j:image

🎵栴檀薫るこの庭に〜、と校歌に歌われたのは小学校の校庭に、でん、でん、でん、と三本、堂々と母校を象徴していたセンダンの大木。僕が低学年の頃まで木造の校舎と講堂に囲まれた昔ながらの校庭(兼運動場)にあった。高学年になった頃、一本、また一本と伐採され、木造校舎は取り壊され、校庭は拡張され運動場に、校舎は鉄筋校舎になった。そのセンダンの木の何本目かの伐採に立ち会ったことがある。子どもながらに〝象徴〟が命終えるという感慨があったと思う。

校歌に歌われた〝象徴〟の木、センダンにはもう会えない。半世紀前までの卒業生の心の中に残るのみ…。

その場所を象徴する木として記憶される木がある、

たしかに。

 

f:id:kuroyurihaze:20200501202928j:image