クロユリハゼの休日

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#52 『我々はどこから来て、どこへ向かっているのか。』

f:id:kuroyurihaze:20200330002045j:image昨日歩いた初谷渓谷の途中に現れる〝タマゴとキバ〟のオブジェ。そのアート空間のテーマ。説明板によると、「地球には様々な生物が誕生し、繁栄し、衰退していったという歴史がある。〝タマゴ〟と〝キバ〟は〝生〟と〝死〟を象徴して表現している。」「初谷川のせせらぎを聞きながら、森にたたずみ」、そんな事を感じ、想像する空間を、という地元(豊能町吉川地区)の人たちによるプロジェクト。

このテーマって、やはりゴーギャンの《我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか》を想起せざるを得ない。タヒチに移住したゴーギャンが思索の末に生みだしたこの大作が初めて日本にやってきた時、全障研全国大会[筑波大学]を抜け出して見に行った。[東京国立近代美術館 2009年]

何とも不思議な絵だった。サイズが実際に大きくて存在感がある。プラス、《我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか》 を考えさせられる仕組みが内蔵されているような作品なのだ。モチーフの一つ一つは、タヒチの女だったり、神像だったり、土着的。見ているうちに自分が土着の中に入りこんでいるような感覚とでもいうか。絵の中で自分の思索が循環して、離れがたい感情がでてくる。そんな作品だった。

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         ボストン美術館