クロユリハゼの休日

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# 217 〝50回忌〟

母方の祖父の50回忌法要があった。

祖父が亡くなったのは、僕が高校一年の時の9月。8月末に大阪の高校の転入試験を受け、東京から大阪に転校したばかりだった。葬儀がちょうど学校の宿泊行事と重なり、転校したての僕は宿泊行事を欠席した。

祖父とのいちばんの思い出は小学校三、四年生くらいだろうか。祖父は全く予告なしに僕を迎えにやってくる。当時はまだ土曜日午前中の授業があって、下校すると家の前にタクシーが止まっている。母は慌てた様子。祖父に急かされて、ランドセルを置くなりタクシーに乗りこみ駅に直行。電車に乗り滝谷不動や信貴山高野山に連れて行かれた。祖父との二人旅。祖父はそこそこ信心深かったようだ。

高野山はいきなりの一泊二日旅で流石に面食らった。高野山では奥の院にある縁者の墓に参り、とある宿坊に泊まった。宿坊にある大きなポスターの〝高野山〟を〝たかのやま〟と読んで、祖父に〝こうやさん〟と教えてもらった。翌日は土産物屋で空海の伝記絵本を買ってもらい愛読書になった。

祖父はいわゆる〝つるっ禿げ〟で、僕も将来こうなるのかと思うと少し暗い気持ちになった。そんな祖父が亡くなっての50回忌法要。参加者で祖父をしっかり覚えている人は五人だけ。

皆、歳をとるものだ、というのが実感。

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