クロユリハゼの休日

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# 216 シューベルト交響曲全曲演奏会

〝これはすごい〟と思った企画の演奏会に4日間通った。f:id:kuroyurihaze:20220919223515j:image

シューベルトの全交響曲を指揮者山田和樹が大阪のプロオーケストラ4団体を指揮するいずみホールの企画。一日目、関西フィル。二日目、大阪交響楽団、三日目、日本センチュリー。四日目が大阪フィルだった。

こういう企画は初めて。前代未聞だろう。企画の中心になったのは、いずみホールの音楽アドバイザー堀朋平。シューベルトの研究者で、シューベルトへの愛が半端ない。

オファーを受けた山田和樹も、この企画に魅力を感じてとは言え、超多忙な人気指揮者が大阪に一週間拘束される企画に乗る決断もすごいと思う。(山田和樹は国内ではMAXで6週間の滞在という契約らしい。)

ともかく、山田和樹ファンとしては、シューベルト交響曲全曲を、すべて彼の指揮で、しかも在阪オケ4団体で一気に聴けるという夢のような企画。山田和樹自身もプレトークで、4団体の個性を活かしたプログラミングと堀朋平氏に語って感心していた。f:id:kuroyurihaze:20220919223531j:image

いずれのオケも、山田和樹の指揮に熱く反応した熱演ばかり。

特に、二日目の大阪交響楽団交響曲第2番、第6番、第4番の演奏が印象に残った。どの曲も初めて聴く曲。滅多に演奏されないシューベルト交響曲を集中力高くいきいきと演奏していて、曲の良さを初めて知ることができた。

最終日の大フィルによる交響曲第8番〝ザ・グレート〟はかつて朝比奈隆の実演で感動した曲。朝比奈指揮のCDでも親しんできた。同じ大フィルの演奏でも、山田和樹の指揮の今回の演奏は朝比奈のようなどっしり感がなく、別の曲のよう。もちろん、これはこれで素晴らしい熱演でした。

企画の狙いどおり、四日間でシューベルト交響曲の魅力を知ることができたのが大きな収穫だった。

ちなみに各日の演奏会の副題は、一日目〝開かれた扉〟、二日目〝奔流〟、三日目〝異界のしらべ〟、四日目〝永遠の高みへ〟。

堀朋平のシューベルト研究の成果が山田和樹とのタッグで見事に発揮されたいずみホールの歴史に残る企画。

次は、メンデレスゾーン交響曲全曲演奏会?(山田和樹がプレトークで堀朋平に提案していた。)