クロユリハゼの休日

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しる

#257 コゲラの巣作り(その2)

昨年の夏の終わり、右眼が網膜静脈閉塞症という病気になった。網膜静脈に血栓ができた影響で網膜がむくんでしまい、症状としては画像が歪んでしまう。こんな感じ。↓ 眼球に注射を打つために生まれて初めて手術室に入ったのが去年の9月。手術そのものは注射…

# 245 せかいのおきく

淡野史良著「人間らしく生きるなら江戸庶民の知恵に学べ」(河出書房新社2000年)の最後の方に江戸の屎尿(うんこ・おしっこ)事情について記述がある。屎尿は周辺の農村の畑に施される肥料として経済的価値が高かった。故に、屎尿は高値で取引されていたと…

# 233 智恵子の生家◦記念館

…もう三十年あまり前、娘が生まれて智恵子と名付けた。〝じゃりん子チエ〟の響き、加えて、〝智恵子抄〟の影響も少しはあったと思う。 福島山旅の一日目、天候が思わしくなかったので、二本松にある〝智恵子抄〟の高村(長沼)智恵子の生家を訪ねた。 安達太…

# 232 紀淡海峡

海が見たくなって和歌山市の加太に行ってきた。 午前中に和泉山脈西端の高森山と四国山(森林公園)を山歩きして紀淡海峡を眺め、午後から友ヶ島(沖ノ島)に連絡船で渡り島内の展望台(タカノス山)などを巡るプラン。 森林公園には展望場所が数ヶ所あり、…

#225 山本山のおばあちゃん

滋賀県、湖北にある山本山。ここにオオワシ♀の個体が今年で連続25年渡来していて、〝山本山のおばあちゃん〟の愛称で呼ばれている。以前からその存在は新聞記事で読んで知ってはいた。 〝山本山のおばあちゃん〟をずっと観察している湖北野鳥センターを訪ね…

# 223 古代歴史館と古墳、充実のボランティアガイド。

前方後円墳の、石室のあった前方部、その中心部に立った。そこに設置された石盤には二つの数字が刻まれている。 〝2011〟と〝531〟 〝2011〟は西暦2011年。この石盤が設置された年、かな。では、「〝531〟はなんですか?」とボランティアガイドさんに尋ねて…

# 222 大島青松園

瀬戸内国際芸術祭の会場のひとつ、国立療養所大島青松園に行ってきた。大島はハンセン病療養所の島、隔離政策の歴史を持つ島だ。 高松から官有船に乗り30分、上陸してまずボランティアの方からハンセン病や島の歴史などのガイダンスがあった。(納骨堂など巡…

# 216 シューベルト交響曲全曲演奏会

〝これはすごい〟と思った企画の演奏会に4日間通った。 シューベルトの全交響曲を指揮者山田和樹が大阪のプロオーケストラ4団体を指揮するいずみホールの企画。一日目、関西フィル。二日目、大阪交響楽団、三日目、日本センチュリー。四日目が大阪フィルだ…

# 215 ……かもしれない。

〝会場に入る前がいちばんたのしいのかもしれない〟 伊丹ミュージーアムで開催中の〝ヨシタケシンスケ展かもしれない〟の第一展示場入口に書かれた最初の〝…かもしれない〟。 確かに、展覧会に足を運ぶということはそれなりの期待感をもっていくわけで、期待…

#214 乗馬トレッキング

乗馬とはどういうことか、初めての乗馬の実践講習45分間は濃密な時間だった。馬の背に単に〝乗る〟という考えしかない初心者に、主体的に馬を〝操る〟という意識を植え付ける45分間。 人間と馬の間に主従関係があること。 馬は人間の意思を、背には重心の微…

# 211 〝築地明石町〟

没後50年 鏑木清方展(京都国立近代美術館)を観てきた。 数年前に再発見され東京国立近代美術館所蔵となった清方の代表作〝築地明石町〟が展示されている。この作品名にも示されているように、清方の作品は東京の下町をテーマにしたものが多い。江戸情緒を…

# 210 バックサイド・オブ・ザ・ムーン

瀬戸内国際芸術祭に行ってきた。 犬島、直島、豊島の順に三日間をかけて三島を巡った。船に乗って島に渡るというのは旅らしくて良い。船やバスの時刻や昼食場所に制約のある離島のこと、あちこち巡礼のように作品をめぐる作戦を立ててせっせと歩き回った。(…

# 206 〝瀧幹〟

河内長野市の滝畑ふるさと文化財の森センターの常設展示が昨年秋に新しくなった。 テーマは〝瀧幹〟。 これだけでは何のことかわからない。〝瀧〟は滝畑、〝幹〟は幹線のこと。滝畑幹線とは、約100年前にこの地で水力発電が始まって、その送電線の名が滝畑幹…

# 205 【うた詠み】日向の旅

日向灘浪とし寄せる砂浜に千鳥は波の端をば走る ポンカンの山から降りてポンカンをジャムに煮詰めるエコなる君は 蝶鮫の雄は埋められ雌もまた魚卵を残し魚霊の碑あり 南国やハネムーンなる語は遥か海岸沿いに廃墟は続く 日南は移住者多し君もまたバイト仲間…

# 203 100分de名著〝金子みすゞ詩集〟

NHKの〝100分 de 名著〟のテキストを、買って読んだ。今回は〝金子みすゞ詩集〟で、テキストの著者は松本侑子さんである。 番組はテキストに沿って構成されるが、今回の松本侑子さんによる〝金子みすゞ詩集〟のテキストは、これだけで立派な金子みすゞ論、作…

# 200 〝芸術は呪術だ〟岡本太郎

午前中に大阪日本民芸館(三代澤本寿展)、午後は万博記念公園内でバードウォッチング、そして予約していた〝太陽の塔〟を見学した。 僕は半世紀前の大阪万博には学校の遠足で行った世代。家からも一回、〝月の石〟を見た。…が、岡本太郎の〝太陽の塔〟とい…

#198 〝蟬声〟

〝蝉声〟は、歌人 河野裕子(1946-2010)の第十五歌集、没後に出版された最後の歌集である。歌集名〝蝉声〟は、歌人でもある長男 永田淳さんがつけたという。その永田淳さんの講演を聴いた。[11/13(土)堺市文化芸術フェスティバル] 講演後の質問〝河野裕…

# 190 〝四つの諷刺的な歌〟

畑中良輔(1922-2012)はバリトン歌手。声楽の分野の大御所先生である。 今日、聴きに行った演奏会[福井雅志バリトンリサイタル@ザ・フェニックスホール]のプログラムの曲には作詩者として名前が載っていて、彼は詩人でもあったと知った。なかなか機智にと…

# 189 安珍と清姫

〝安珍と清姫〟。平安時代の伝説を墨とペンで描いた小品。[あやしい絵展@大阪歴史博物館]蛇身となった清姫が鐘の中に逃げ込んだ安珍に巻きつき、口から火を吐き焼き殺す場面。観た瞬間に胸を突かれる〝妖しく美しい〟絵だ。シャープな筆致、現代的なデザイ…

# 185 みるく世の謳

6月23日は沖縄慰霊の日。 沖縄全戦没者慰霊追悼式で〝平和の詩〟が作者本人によって朗読された。今年は宮古島の中学生の詩、〝みるく世(ゆ)の謳(うた)〟。夕刊一面には全文が掲載されている。 かなり長文の構成詩で、TVニュースでは〝みるく世ぬなうらば…

#184 日時計と〝太陽の道〟

二上山の雌岳山頂広場は奈良盆地側の展望がよい。二ヶ月半ぶりに登ってみたら、広場南側の樹木が剪定されて葛城・金剛の山並みも見通しよくなっていた。 この広場に大きな日時計がある。 設置の謂れを書いた説明板があることに初めて気づいた。〝太陽の道〟…

# 171 上赤阪城址 @千早赤阪村

大阪府唯一の村は楠木正成ゆかりの地。 楠公生誕の地には郷土資料館や道の駅があり、今日はそこから金剛山へのロングコース。(赤阪古道:桐山・ニ河原辺道) コース周辺に、楠木正成が築いた山城や要塞群があり、鎌倉幕府軍との戦いは〝太平記〟に記されて…

# 161 西田哲学との出会い

ひょんな事から西田哲学に触れることになった。 年末年始に読む本を本屋で探していて、生物学者の福岡伸一氏の著書が目にとまった。 『福岡伸一、西田哲学を読む』 〜生命をめぐる思索の旅〜 小学館新書(2020) 福岡さんの著書は、『生物と無生物のあいだ』…

# 155 お亀石古墳 @富田林

ちょっと遠いが、徒歩でコーヒー豆を買いに。初めて歩く道沿いにフェンスで囲まれた広大な空き地が。府営団地二棟が不自然に離れた位置にある。なんじゃこりゃ? 国の史跡、新堂廃寺跡の説明板があった。 名前は知っていたが、ここでしたか。古代、南河内最…

#127 アマミホシゾラフグと大方洋二さん

奄美の海底、砂地に現れるミステリーサークルの創造主、その姿を初めて発見・観察(2011年)したのが水中写真家の大方洋二さん。 その後、NHK〝ダーウィンが来た〟で紹介され、アマミホシゾラフグは世界の新種TOP10にも選ばれたそうだ。 その大方洋二さんの…

#123 〝つづく〟 @兵庫県立美術館

きっかけは昨夏、青森県立美術館だった。 設立・運営のコンセプト、建築、展示企画、どれをとっても素敵な美術館。 実際に訪れてみて、豊かな気持ちになれる大きな要素が美術館スタッフが着ている〝服〟だった。とてもシンプル。普段着のような、作業着のよ…

#117 骨格標本@大阪市立自然史博物館

植物園に面したポーチの天井から吊るされた三体のクジラの骨格標本。放課後デイの遠足の引率で小一時間、この場所に陣取ったおかげでこの博物館の凄さを思い知った。 三体とも大阪湾に死体となって漂着したクジラ達。骨格標本は最も大きなナガスクジラの後ろ…

#110 〝知るからはじめる外来生物〟

大阪市立自然史博物館で開催中の特別展〝知るからはじめる外来生物〟。副題が〝未来につなぐ地域の自然〟。地味な企画だなあと思っていた矢先、自然観察好き少年が公園から持ち帰った昆虫がこれ。カッコいい、カミキリムシ。 早速スマホで調べると、ジャコウ…

#108 Welcome to a village of 2,000 years ago!

奈良県田原本町にある弥生時代の環濠集落遺跡、唐古・鍵遺跡は広大な史跡公園として整備されていた。遺跡からは遠く東海地方や中国地方でつくられた土器が出土している。昨年訪れた縄文時代の集落、青森の三内丸山遺跡でも他地域との交流があるのを知った。…

#92 ハンドサイン

自然観察好き少年にゲームの際の得点伝達手段としてハンドサインを教えていた。元はと言えば、スキューバダイビングの際に水中でバディにタンク残圧を伝えるハンドサイン。「✊(グー)」は数字の0、「✌️(チョキ)」は2、「(ぱー)」は5。「、✊」は50、…