クロユリハゼの休日

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# 211 〝築地明石町〟

没後50年 鏑木清方展(京都国立近代美術館)を観てきた。f:id:kuroyurihaze:20220531222154j:image

数年前に再発見され東京国立近代美術館所蔵となった清方の代表作〝築地明石町〟が展示されている。この作品名にも示されているように、清方の作品は東京の下町をテーマにしたものが多い。江戸情緒を残した明治期の下町で育った清方、この時期の東京下町を〝幸せな時代〟として終生のテーマとした。貧しくともゆとりのある明治の下町、隅々まで清掃されていたそのことが〝ゆとり〟だという。

また、好きなことしか描かない、だから、〝いくさ〟は描かない。戦時中も意地と反抗の気持ちもあって美人画を描き続けたという。

明治の東京下町という場所、時代、季節、生活、文化(歌舞伎や落語、文学も)をうかがい知れる、清方の全体像がわかる展覧会だった。