クロユリハゼの休日

やま とり うた みる きく よむ うみ など

# 210 バックサイド・オブ・ザ・ムーン

瀬戸内国際芸術祭に行ってきた。f:id:kuroyurihaze:20220520232421j:image

犬島、直島、豊島の順に三日間をかけて三島を巡った。船に乗って島に渡るというのは旅らしくて良い。船やバスの時刻や昼食場所に制約のある離島のこと、あちこち巡礼のように作品をめぐる作戦を立ててせっせと歩き回った。(レンタサイクルでまわる人が多かったが…。)

いわゆる〝現代美術〟の芸術祭である。なんだこれは〜?と首を捻る作品もあるのが〝現代美術〟⁉︎、だが、新鮮で興奮の体験もある。

 

直島では家屋や寺社を改修して作品化する〝家プロジェクト〟があって、そのうちの〝南寺〟を作品化したのが〝バックサイド・オブ・ザ・ムーン〟。公式ガイドブックには〝暗闇の中、光を素材とした作品を鑑賞できる〟としか書かれていないが、鑑賞というより知覚(視覚)体験に近い。視覚の不思議に身体感覚がプラスされて新鮮だった。

そして、このような体験がその場に居合わせた鑑賞者と共通体験になるという事実も重要。南寺は一度に体験(約15分)できる定員が14名まで。(整理券が必要だった。)未知の体験への不安と緊張から暗闇での沈黙の数分を共に過ごして初めて、知覚される共通体験。わくわくする驚きの感情が14名に共通の体験としてやってくる。

似たような体験は豊島美術館でも体験した。日常の感覚からの〝ずらし〟による摩訶不思議な感覚、現代美術とは幅の広いものだと感じた旅だった。