クロユリハゼの休日

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#214 乗馬トレッキング

乗馬とはどういうことか、初めての乗馬の実践講習45分間は濃密な時間だった。馬の背に単に〝乗る〟という考えしかない初心者に、主体的に馬を〝操る〟という意識を植え付ける45分間。

人間と馬の間に主従関係があること。

馬は人間の意思を、背には重心の微妙な移動で、手綱の向きやスピードで、人間の足が腹を打つタイミングや強さなどで、刻々と掴んでいる。

その上で、馬は背に乗る人間の意思に従うかどうかを馬自身が決めて次の行動を決める。

乗馬とは、人間の意思と馬の意思の相互作用なのだ。そのために人間は、馬の意思を間断なく汲み取らなければならない。

馬は人間の意思に反して道草を食おうとする。馬は草食動物であることを実感する。手綱を引いて腹を蹴り道草をやめさせる。歩く方向を手綱の引き加減で調節して馬に知らせる。その加減の微妙なこと。重心を前に傾ければ馬は前に進み、後ろに傾ければ歩みを止める。その加減を45分間で、兎も角も掴まなければならない。

その45分間があって初めて、次の2時間半の乗馬トレッキングで主体的な馬上の人になれるのだ。

馬の背で揺れながら、活火山の裾野を巡る約10Kmの乗馬トレッキング。初めてで早足は会得できなかったが、馬との相互の意思疎通の面白さを知ることができた。

思い出すとわくわくする体験だった。

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