クロユリハゼの休日

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# 222 大島青松園

瀬戸内国際芸術祭の会場のひとつ、国立療養所大島青松園に行ってきた。大島はハンセン病療養所の島、隔離政策の歴史を持つ島だ。f:id:kuroyurihaze:20221108211141j:image

高松から官有船に乗り30分、上陸してまずボランティアの方からハンセン病や島の歴史などのガイダンスがあった。(納骨堂など巡りながらのこの説明がわかりやすくて素晴らしかった。約30分。)芸術祭は今は使われていない住居と社会交流会館を中心に展開されている。現在、入所者は85才超の38名だそうで、入所者の生活ゾーンには立入できない。

社会交流会館内にも充実したガイダンス展示があり、それらを見学してからいよいよ芸術祭の作品を巡った。田島征三鴻池朋子などの作家が島を訪れて入所者と交流しながら継続的に制作した作品群は、かつての隔離政策が入所者に強制した運命に関わる共通のテーマを自ずから持ち合わせていた。見学者は作品を通して間接的に入所者と交流することになる。f:id:kuroyurihaze:20221108211544j:image

隔離によって小さな島の中で人生を完結せざるを得なかった人々の存在を象徴する納骨堂(2100名を超える方が眠るという。)、火葬場、解剖台、生活に関わる施設(浴場や簡易郵便局)を併せて見ることで、作家が制作に臨む心情を少し追体験してみたりもする。f:id:kuroyurihaze:20221108211614j:image

 

今回は二日間で女木島、男木島、大島の三島を巡った。大島が瀬戸内国際芸術祭のよい締めくくりとなった。次の瀬戸内国際芸術祭は三年後の開催、また島巡りをしてみたい。