大峰、稲村ケ岳に登った。
洞川の母公堂登山口から法力峠を経て山上辻までは概ね緩やかな登りが続く。法力峠までは植林帯、法力峠を過ぎるとまもなく自然林の中の道だ。登山道は等高線に沿うように徐々に標高を上げていくのだが、こういう道ってどういう風に拓くんだろう?不思議。
そして山上辻に建つ山小屋が稲村小屋。ここから稲村ケ岳山頂往復が約1時間半だ。
稲村小屋には昔(20代前半)、一度だけ泊まったことがある。
職場の登山大ベテランの大先輩に何度か大峰に連れて行ってもらった中の一回。土曜の半ドン勤務のあと車で出発して、当時は幾つもの峠をグネグネと越えてやっと洞川に着くともう夕刻。日の短い冬期だったので登山開始してから日没となりヘッドランプの灯りを頼りに登った。山上辻に近づくと積雪があったと記憶する。稲村小屋に着いてからの記憶があまりないのだが、大先輩は小屋の主人と旧知の仲らしく、「おやじ」と呼んで親しく話をされていた。
大先輩との大峰はいつも土曜の午後からなので基本、山小屋泊(またはテント泊)だった。弥山小屋も夜間登山だった。大普賢岳登山の時は和佐又ヒュッテ、釈迦ケ岳の時は前鬼小仲坊に宿泊した。大先輩はどの小屋の〝おやじ〟とも親しくて、登山歴の深さを感じたものだ。
大先輩のおかげで、僕は大峰の山々の魅力を知ることになったと言ってよい。今日も稲村小屋の前に立って、今は亡き大先輩のことを思い出したのだった。
[行動時間7時間]