クロユリハゼの休日

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# 256 〝たまのののののちゃん〟

朝刊を開いてまず見るのが四コマ漫画〝ののちゃん〟。 ずっと四コマ漫画はスルーしていたのだが、1年ほど前に〝ののちゃん〟の凄さに気づいてからは、いの一番に〝ののちゃん〟だ。 最小限の描線で背景のパーツを構成して空間をつくるセンス、登場人物の表情…

# 255 〝山道〟

〝断捨離〟という言葉は、どこか薄っぺらい響きがして好きではない。 …それはともかく、 思い立って物置き部屋を整理していると、覚えのない〝資料〟がいろいろ出てきた。その中のひとつ。 小学校の卒業記念品。スクラップブックだ。 最終ページに担任の先生…

# 252 君たちはどう生きるか

【うた詠み】 まどろみは枕の底に沈みたり夢のあとさき掴む能わず …………………………………………………………… 5、6年前だろうか、放課後デイサービスの高校生が「これ、おもしろいで。」と一冊の本を見せてくれた。↓ 吉野源三郎著〝君たちはどう生きるか〟 「えっ、吉野源三郎…

#227 異形の者

先日、劇団四季のミュージカル〝ノートルダムの鐘〟を観てきた。 以前に観た〝オペラ座の怪人〟もそうだが、主人公は〝異形の者〟だ。欧米では、ディズニーもそうだが、〝異形の者〟が主人公のケースが多いように感じる。そのことに常々、ちょっと違和感があ…

# 226 白髪三千丈

大江健三郎さんの思い出をひとつ。 一度だけ、大江さんの講演を聴きに行ったことがある。確か、岩波書店の主催で大阪のサンケイホールだったかな。僕は大学生か、ひょっとしたら就職していたかもしれない頃。 その講演で大江さんは〝モデル〟という言葉を何…

# 215 ……かもしれない。

〝会場に入る前がいちばんたのしいのかもしれない〟 伊丹ミュージーアムで開催中の〝ヨシタケシンスケ展かもしれない〟の第一展示場入口に書かれた最初の〝…かもしれない〟。 確かに、展覧会に足を運ぶということはそれなりの期待感をもっていくわけで、期待…

# 204 〝音の記憶〟

先日、関西フィルの演奏会へ。お目当ては、ガーシュインのピアノ協奏曲(へ調)である。ガーシュインならでは、ピアノも管弦楽もジャジィーな大曲。ピアノはジャズピアニストの小川理子さん。期待に違わない演奏、やはりガーシュインの曲はジャズピアニスト…

# 203 100分de名著〝金子みすゞ詩集〟

NHKの〝100分 de 名著〟のテキストを、買って読んだ。今回は〝金子みすゞ詩集〟で、テキストの著者は松本侑子さんである。 番組はテキストに沿って構成されるが、今回の松本侑子さんによる〝金子みすゞ詩集〟のテキストは、これだけで立派な金子みすゞ論、作…

# 199 〝ある真夜中に〟

・一昨年の夏、青森 八甲田山登山の折、谷地温泉に宿泊した。八甲田山に登ると広大な裾野と原生林の広がりに驚かされる。谷地温泉はその広大な裾野、森林にぽつんと一軒。歴史ある秘湯の温泉宿だった。簡素な部屋でトイレも洗面も共同、食堂はあったが昔なが…

# 191 〝ぞうさん〟

パラリンピックが終わったようだ…。 『まどさんのうた』は、まどみちおさんと交友があった阪田寛夫さんの著書。[童話屋:1989年] 阪田寛夫さんは〝サッちゃん〟を作詞された方。はじめは、まどさんをふしぎな人だなあと感じ、次第に巨大な〝まど山脈〟の懐…

# 185 みるく世の謳

6月23日は沖縄慰霊の日。 沖縄全戦没者慰霊追悼式で〝平和の詩〟が作者本人によって朗読された。今年は宮古島の中学生の詩、〝みるく世(ゆ)の謳(うた)〟。夕刊一面には全文が掲載されている。 かなり長文の構成詩で、TVニュースでは〝みるく世ぬなうらば…

# 183 〝絵本が人と人をつなぐ場に〟

昨晩のニュース番組で、生前のエリック・カールさんの願いを伝えていた。 〝絵本が人と人をつなぐ場に〟 支援学校では、〝はらぺこあおむし〟をはじめとするエリック・カールの絵本はあちこちのクラスに置かれていた。僕が関わった子どもの一人に、エリック…

#180 THE SENSE OF WONDER

レイチェル・カーソン『センス・オブ・ワンダー』を図書館で借りて読んだ。 ひとの持つ、視覚、聴覚、臭覚、触覚などの感覚を使って、自然から何かを感じとる経験とは。 明神平でのある朝の経験を思い出す。 ブナやカエデの原生林で焚き火を囲んだ春の夜、皆…

# 167 十五歳の東京大空襲

訃報がきっかけ。 半藤一利さん。 立て続けに追悼ニュース、追悼特番をTVで観た。 以前、ご健在の頃のTV番組で、〝昭和史〟を若い編集者などに講義するに至った経緯を話されていた。(半藤さんは文藝春秋社の元編集者。) すごく楽しい〝授業〟だったらしい…

# 161 西田哲学との出会い

ひょんな事から西田哲学に触れることになった。 年末年始に読む本を本屋で探していて、生物学者の福岡伸一氏の著書が目にとまった。 『福岡伸一、西田哲学を読む』 〜生命をめぐる思索の旅〜 小学館新書(2020) 福岡さんの著書は、『生物と無生物のあいだ』…

#146 〝葉っぱのフレディ〟

先日、遊歩道を散歩しながら紅葉した落ち葉を拾っていた。(工作の素材を集めていた。) 道に積もった落ち葉を見ながら、ふと思い出したのが〝葉っぱのフレディ〟落ち葉を手にとって歩くうちに突然、この物語の意味が実感を持って心の中に降りてきた。 〝葉…

#127 アマミホシゾラフグと大方洋二さん

奄美の海底、砂地に現れるミステリーサークルの創造主、その姿を初めて発見・観察(2011年)したのが水中写真家の大方洋二さん。 その後、NHK〝ダーウィンが来た〟で紹介され、アマミホシゾラフグは世界の新種TOP10にも選ばれたそうだ。 その大方洋二さんの…

#125 持ち主の〝かけら〟

さて、#123のブログの最後↓ 『皆川明の著作を、縦糸と横糸を織るような気持ちで読んでいる。青森から始まった関心は、展覧会のあともしばらく〝つづく〟ようだ。』 その〝つづき〟に思わぬ〝かけら〟が…。 〝皆川明の旅のかけら〟という本、この本は雑誌『装…

#120 「ホラホラ、これが僕の骨だ」

中原中也の詩、「骨」の一節。この詩には中学生の時に出会った。 中学生の時に、「骨」が、人生を変える詩として出会った方の記事が。昨日の新聞、文化・文芸欄。 フォーク歌手、画家、競輪評論家の友川カズキ。(ご存知ですか?ワタクシは知らない。) 友川…

#106 オーラルヒストリー

昔、我が家が日経新聞をとっていた頃に愛読していた連載欄に「私の履歴書」がある。経済界だけでなく、いわゆる文化人など多士済々が語る自叙伝が気軽に読めて良い。似たような欄が朝日新聞にもあって、今は政治学者の御厨貢さんが連載中。 御厨氏は政治家か…

#100「あなたがあの時」

昨日は沖縄慰霊の日。式典で読まれた平和の詩「あなたがあの時」[首里高校 高良朱香音さん]、全文を読んだ。 ガマ(壕)での平和学習体験を場面設定にして、沖縄での戦争体験を語ってきた〝あなた〟の、その体験そのものに想像を巡らせるかなり長文の詩で…

#87 第二章「米国と戦場のあいだ」23歳まで

僕は大学まで片道2時間かけて通っていた。電車では〝朝日ジャーナル〟を毎週のように買って読んでいた。(のちに筑紫哲也が編集長になった。)〝朝日ジャーナル〟の巻頭コラムは一時期、経済学者の都留重人が担当していた。今でも覚えているのが、〝物価調…

#86 第一章「政治の家に育つ経験」は16歳まで。

黒川創『鶴見俊輔伝』 ハーバード大卒の鶴見俊輔、小学生で不良に。小学生の不良って?万引きとか、先生を怒らせて「もう来るな。」と言われ授業に出ない、などなど。どうも、特殊な家庭環境(現代にはないタイプの特権階級)が過ぎて理解しにくい面も。中学…

#85 『鶴見俊輔伝』黒川創

13年前に鶴見俊輔の講演を聴いた。すでに80歳代半ば。鶴見さんほど言葉に力のある講演は他にない。伝えたい中身と伝える気持ちがタッグを組んで会場の隅々まで音声として力のある声が伝わる。穏やかな語り口ではないが、ありがちな下品さのかけらもなく心に…

#83 『秋霜烈日』 ‐ 検事総長の回想‐

検事総長まで務めた伊藤栄樹氏の病床回想録。 以前、古本屋で買って読んだ。今は手元にない。 ネットで調べると、〝巨悪と闘い、がんと闘った「ミスター検察」。戦後の政財界の重大事件のすべてを見てきた硬骨漢が、迫り来る死をみつめながら綴り続けた戦後…

#82 広辞苑

三浦しおん『舟を編む』を読んだ。 出版社の国語辞典の部署が舞台の物語。映画化やアニメ化もされているようだが観たことはない。ドラマとしての面白さとは別に、辞書編纂の実際を垣間見るドキュメンタリーの味がした。民間企業である出版社が国語辞書編纂と…

#81 「僕、泳げる?いっしょに。」

〝羽仁進の世界〟と〝『人生を変えてくれたペンギン』〟の共通項をもうひとつ。※5/11のブログ参照。 トム・ミッチェルはアルゼンチンの全寮制学校の教師で生徒と共に寄宿舎に住んでいた。その中に、ボリビア出身でペンギンの世話を熱心にする生徒がいた。英…

#80「個」の判断、「個」のつながり

ETV特集「羽仁進の世界」の中のエピソード。少年羽仁進の家の水槽にオオサンショウウオがいた。(何処からかの贈り物らしい。)少年はある日、オオサンショウウオを抱きかかえて近くの池まで歩いて行き、その池に放した。オオサンショウウオは自由に泳ぎ、動…

#79 環日本海諸国図

本棚に〝積ん読〟状態だった『網野善彦を継ぐ。』。表紙カバー図版に富山県作成〝環日本海諸国図〟が。 歴史学者、網野善彦の一般向け講座の原稿を本におこしたのが『歴史を考えるヒント』。この本の中でも言及されていた〝環日本海諸国図〟、網野さんの言葉…

#71 イーハトーボの劇列車

没後10年。井上ひさしによる戯曲。 昨年、こまつ座公演「イーハトーボの劇列車」を観て次のように書いた。 『井上ひさしの戯曲を上演し続けている劇団こまつ座の大阪公演。二十代の頃、いくつか観たこまつ座公演のうち最も思い出深い戯曲。今回は宮沢賢治役…