クロユリハゼの休日

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#82 広辞苑

f:id:kuroyurihaze:20200514224620j:image三浦しおん『舟を編む』を読んだ。

出版社の国語辞典の部署が舞台の物語。映画化やアニメ化もされているようだが観たことはない。ドラマとしての面白さとは別に、辞書編纂の実際を垣間見るドキュメンタリーの味がした。民間企業である出版社が国語辞書編纂という息の長い根気のいる仕事をしている。今、コロナ禍で音楽文化や食文化などが危機に瀕していて、国語辞書を編纂できる出版社がなくなったらどうなるのだろうと考えてしまう。紙媒体からオンライン辞書になろうとも、辞書編纂の労力なしに国語辞書はできない。

 

実家で読了したので、確か古い広辞苑があったはずと思い、書棚から取り出してみた。

奥付を見ると、昭和30年(1955年)に印刷された広辞苑だった。購入した母の旧姓の記名がある。

母が自らあ行、か行、…と辞書を引きやすいよう筆を入れていた。25歳の母を想像する機会になった。