クロユリハゼの休日

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#71 イーハトーボの劇列車

没後10年。井上ひさしによる戯曲。 昨年、こまつ座公演「イーハトーボの劇列車」を観て次のように書いた。 『井上ひさしの戯曲を上演し続けている劇団こまつ座の大阪公演。二十代の頃、いくつか観たこまつ座公演のうち最も思い出深い戯曲。今回は宮沢賢治役…

#60 『発注 いただきました』朝井リョウ

作曲家の池辺晋一郎氏(合唱団では先生という敬称をつける)は夥しい数の映画音楽や劇音楽、大河ドラマのテーマ音楽などを手がけておられる。以前、合唱団で池辺先生と会食する機会があった。前々から知りたかったことを質問した。すなわち、映画音楽など以…

#50 『二十歳の原点』高野悦子 1971年

新聞の特集、「時代の栞」に取り上げられていた。二十歳で自殺した立命館大生の日記、当時ベストセラーとなり我が家にもあった。父が買ったらしく、中学生の僕も読んだ。学生運動が学園闘争、警察機動隊との衝突など激化する最中、東大安田講堂事件のあった…

#44 【東混公演中止・首里城火災・東京マラソン】

すばるホールでの公演が中止となった東京混声合唱団が18日(水)夜、中止になった演奏会でのプログラム曲を含む特別演奏をYouTubeでLive配信する。無料の動画配信である。[指揮:高谷光信、ピアノ:酒井有彩] youtu.be/2QYThoZOTSM 関係者が年単位で準備して…

#29 言葉と歩く日記

多和田葉子 著 岩波新書 2013年 以前、著者の短編小説を読み始めて、〝ぶっとんだ〟文体・文章についていけなかった。日記なら読めるだろうと考えたのは正解。 著者はベルリン在住で、日本語、ドイツ語、両方の言語で小説や戯曲を発表している。「日本語とド…

#27 〝夜明けから日暮れまで〟混声合唱曲

和合亮一:詩 信長貴富:曲 この詩の読み解きはなかなか時間がかかった。 何度も読み返してようやくイメージをつかめた気がする。この曲は東日本大震災後、福島在住の詩人和合亮一と作曲家信長貴富に委嘱され、翌年に福島で初演された。 詩人は言う。 「私が…

#26 〝くちびるに歌を〟 混声合唱とピアノのための

信長貴富作曲。3/21に〝とうこん〟と共演する曲のひとつ。この曲を最初に聴いたのは大阪府合唱連盟合唱祭だった。その時、ちょっと面食らった。ドイツ語ではじまったから。途中から日本語になり、またドイツ語に。また日本語に。今ならもちろんわかる、その…

#22 穂高小屋番レスキュー日記

宮田八郎著 山と渓谷社 2019年 穂高岳には登ったことがない。何度か登りたいと思った。この本を読んで「やめとこ。」と思った。山小屋の従業員として働きながら、穂高周辺で遭難・事故があれば当然のように救助に向かう著者。穂高周辺では年間10名程の死者が…

#16 なんでわざわざ中年体育

・角田光代 著 2019年 文春文庫 インドア派の小説家が週一のランニングを継続してフルマラソンやトレランなどに挑戦した数年間のエッセー集。単行本は2016年刊。 この文庫本はボルダリング用のトートバッグに忍ばせて少しずつ読んでいる。1年半前に息子につ…

#12 そのうちなんとかなるだろう

・内田 樹 著 マガジンハウス 2019年・ 植木等ではない。 ロングインタビューをもとに綴られた内田樹(1950年生まれ)の自叙伝。 内田樹の文章に触れるようになったのは10年位前からか。時折掲載される新聞のコメントから、今最も信頼できる言説を届けてくれ…

#8 ぼくはイエローでホワイトでちょっとブルー

・ブレイディみかこ著 新潮社 2019年・ イギリスは階級社会である、という知識はあったが、その現実を〝最底辺中学校″に通う息子にまつわるエピソードを通して紹介するノンフィクション。書店に平積みされてるのが目につき購入。 地域の学校といっても私立、…