クロユリハゼの休日

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#8 ぼくはイエローでホワイトでちょっとブルー

ブレイディみかこ著 新潮社 2019年・

イギリスは階級社会である、という知識はあったが、その現実を〝最底辺中学校″に通う息子にまつわるエピソードを通して紹介するノンフィクション。書店に平積みされてるのが目につき購入。

地域の学校といっても私立、公立含めて多様。従来の労働者階級と富裕層という軸に諸外国からの移民、レイシズムLGBTなどによる多様性が加わって、いくつもの軸が絡み合う地域社会の子どもとおとなの姿が活写されている。イギリス社会の今を知るビックリてんこ盛り。話題のスウェーデンの少女が提起したスクールストライキも出てくる。環境問題のデモがあれば、学校ごとに休校が判断されて子どもがデモに参加する権利をみとめたり、理由なく子どもが学校を欠席すると保護者に罰金が課せられるとか、宗教別の公立学校が設置されていたりと、日本の常識では発想しにくいことがわかる。

結果として息子の成長過程が描かれていて、著者の家族にエールを送りたくなる。

 

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