クロユリハゼの休日

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#117 骨格標本@大阪市立自然史博物館

植物園に面したポーチの天井から吊るされた三体のクジラの骨格標本。放課後デイの遠足の引率で小一時間、この場所に陣取ったおかげでこの博物館の凄さを思い知った。f:id:kuroyurihaze:20200812002210j:image

 

三体とも大阪湾に死体となって漂着したクジラ達。骨格標本は最も大きなナガスクジラの後ろにザトウクジラとマッコウクジラ、二体がしたがう。ポーチの柱にある、ナガスクジラ骨格標本になるまでの説明を読むと…。

①死体を岸壁に引き揚げ、肉と内臓を解剖する。(鯨のまち、和歌山県太地町の協力あり。)

②解剖後、骨格を土に埋める。(骨に付いた肉や脂が無くなるまで待つためだそう。年単位で待つ…。そうだったのか。どこに埋めるの?長居公園かな。ナガスクジラは体長20m近い。)

③6年後、骨格を掘り出す。(骨を壊さないよう手作業。…なので、博物館友の会も協力して人海戦術。遺跡の発掘と同じではないか。)

骨格標本ができるまでに7年を要したという。

④さて、骨格標本は出来上がった。では、この巨大な標本をどうやって展示するのか。f:id:kuroyurihaze:20200812010549j:image

このポーチは博物館本館と新館を結ぶ通路というか天井付きの広場になっている。毎年、秋に行われる自然史フェスティバルでは、このポーチにもたくさんのブースが設けられ賑わっている。その時は、頭上の巨大な骨格標本に気づかないほどだ。

うかつな事に、今日、初めて気づいた。↓

巨大な天井構造物を持つこのポーチは、クジラの骨格標本の展示のために建設されているということに…。

天井から吊るされたクジラの骨格は、さも海中を泳いでいるかのように、空中に!、再現されている。クジラが4本足であった名残りの小さな(といっても30cmくらいありそう。)〝寛骨〟も三次元のあるべき位置に吊るされている。

 

長い時間と多くの人手、莫大な費用もかかっているだろう。研究の集積、成果を広く目に見えるカタチにしている自然史博物館。奥が深い、深い。

大阪市は誇って良い、この博物館を。

 

※先日、ひとりの卒業生が顔を見せた。遠足先が自然史博物館と分かると、「友の会って、知ってますか?」と。かつて彼は、自然史博物館の〝友の会〟会員でフィールドワークに何度も参加していたのだ。鳥や虫など自然に詳しかった彼のこと、腑に落ちた瞬間だった。