クロユリハゼの休日

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#196 福岡伸一✖️池澤春菜『新・ドリトル先生物語』を語る

ヒュー・ロフティングの「ドリトル先生航海記」は、小学生の頃に読んだ記憶がある。f:id:kuroyurihaze:20211029091533j:image

ドリトル先生シリーズ〟に熱中した読書体験をもつ二人の対談(ライブ配信)が知的刺激に溢れて滅法面白かった。

福岡伸一さんは〝航海記〟の新訳を書き、現在『新・ドリトル先生物語』を新聞連載中。

声優でSF作家協会会長の池澤春菜さんは、福岡さんと世界観を共有している。対談の中では、明晰な言葉で〝ドリトル先生〟と〝新・ドリトル先生〟の魅力を深めてくれた。そして、〝新・ドリトル先生〟の朗読も素晴らしい。f:id:kuroyurihaze:20211029091601p:image

対談の中身をメモ風に書き出すと…。

・〝ドリトル先生〟はSF文学。月に行ったり、海底に行ったり。しかも、ちゃんと科学の眼で見ている。

・児童文学は、児童と、かつて児童であった大人のための文学。

ドリトル先生は誰に対しても〝フェア(公正公平)〟そして、スタビンズ少年の先生に対する〝リスペクト(尊敬)〟。これが作品に貫かれている。

・動物はそれぞれの環境や世界の中で生きている。人間の環境や世界の尺度で動物を見ない。

・本家〝ドリトル先生〟と一世紀を隔てて書かれている〝新・ドリトル先生〟。福岡さんは、ポスト・コロナ時代の生命哲学を考えながら連載を続けている。などなど…。f:id:kuroyurihaze:20211029093224p:image

福岡さん曰く、〝新・ドリトル先生〟は、親が子どもに読み聞かせる〝Voice〟を意識して、短い文で書いている、とのこと。

実は僕は、この新聞連載を毎日こっそり(⁈)〝音読〟している。福岡さんの策略にすっかりハマっていた。…いやはや。

岩渕真理さんの挿画も楽しみながらの〝音読〟。新聞連載小説を読むこと自体が人生初めての経験だが、〝音読〟することが毎日の日課になることも人生初。(自分の滑舌の悪さも自覚した。)

福岡さんも池澤さんも、自分の興味や好奇心にしたがっていろんな分野に読書や活動を繋げている。人生の豊かさとは何か、ということをお二人をロールモデルにして考えてみてはどうかと思った。f:id:kuroyurihaze:20211029095129p:image