クロユリハゼの休日

やま とり うた みる きく よむ うみ など

#59 雛の救出

ケリは畑に営巣し繁殖する鳥である。ツバメやスズメと同じく、人間の営みに密接につながっている鳥だ。

散歩中、畑でケリが鳴いていた。見るとヒナを連れている。親鳥はわざとヒナから離れて鳴き、敵である僕の注意を引こうとしている。ところが一羽のヒナはチロチロと鳴きながらコンクリの用水路をうろうろ。自力で脱出できないのだ。f:id:kuroyurihaze:20200410191720j:image

〝ヒナを拾わないで〟とは日本野鳥の会のスローガン。親鳥に任せるのか、このまま猫やカラスの餌食になって自然界の定めに従うのか、僕が救世主となり人工のコンクリ地獄から親鳥に戻すのか、しばし思案する。親鳥はけたたましく鳴きながら僕の頭上を旋回して威嚇をはじめた。結局、チョー可愛いヒナを畑に戻すことにした。僕が近づくとヒナはへたり込んで一切動かず〝死んだフリ〟。生まれたばかりのヒナなのに命を守る術を身につけている。f:id:kuroyurihaze:20200410191743j:imageそっと畑に戻し、僕がその場を離れてからやっと親鳥のいる方へ歩みはじめた。f:id:kuroyurihaze:20200410191814j:image春の日の一期一会、だった。f:id:kuroyurihaze:20200410191907j:image