7月末、5か月振りに開催された東京混声合唱団の演奏会がYouTubeで無料配信されている。
そのオープニングで演奏されたのが、〝ポジティブ太郎〟。上田真樹作曲、詞は〝つんく〟。
何回も聴き返しているこの曲、演奏会全体の中で最も印象に残った。インパクトのある題名とは裏腹に、ア・カペラ。日本語の美しさをリズムや和声で引き立てる仕掛け満載、聴きごたえのある合唱曲である。(ゲスト出演の上田真樹さんは〝クラシカル〟に作曲したと話されていた。)
無料配信は↓
※30分過ぎからコンサート画面にかわります。
〝聴きごたえ〟という以上に、この曲がオープニングに選曲されたことが感慨深い。
5ヶ月前、公演自粛前の最後の東混の演奏会、アンコール曲はエルガーの〝Agnus Dei〟だった。(→#33 Agnus Dei:2月29日のブログ)合唱団もコロナの渦中に巻き込まれてゆくことを覚悟した最後の演奏会。そのアンコール曲を会場で聴いた。
いったい、どうなるんだろう。(ひどいことになる、と指揮者は聴衆に語ってからアンコール曲を振った。)
それから5ヶ月。東混は自ら開発した合唱のためのマスクを着用して、まず最初に〝ポジティブ太郎〟を演奏したのだ。〝なんで、なんで。〟と不運を恨む心境から、〝ここからは始まる、いつでも始まり〟とポジティブな気持ちに向かうまでの姿が、東混の5ヶ月、僕たちの5か月に重なる。最後の言葉、ホールの残響が5か月分の残響のように心に響いた。