この夏、スウェーデンのダーラナ地方に数日滞在した。広大な森林に湖が点在するダーラナ地方の小さな村、スンドボーンという所に国民的画家といわれるカール・ラーションの住居があり公開されていた。(ガイドツァーに参加して見学。住居内撮影不可。)
http://www.carllarsson.se/wp-content/uploads/2019/06/CL-Soundborns-ny.mp4
カール・ラーションはこの家の室内や庭を舞台に描いたシリーズを画集〝わたしの家〟として出版して人気を博したという。明るい色調の水彩画で、輪郭を黒い線で描いたのは浮世絵の影響らしい。画家でもあった妻が室内の調度を工夫したり壁画を描いたりしている。夫婦が時間をかけて手を入れ、趣向を凝らしたたくさんの美しい部屋。そこで育つ子どもたちも描いた〝わたしの家〟は幸福感に溢れている。
住居見学の折には、僕はまだカール・ラーションも〝わたしの家〟も知らず、とりあえず隣接したアートショップで〝わたしの家〟シリーズの中の一枚(印刷物)を購入した。
カール・ラーションへの興味が増しラーション家族が住んだ村をもっと知りたくなったので、二日後に再びスンドボーンを訪れた。水辺や運河(?)、村の教会などを結ぶ散策コースを美しい村の家々を見ながら歩いた。途中から降雨となりショートカットせざるを得なくなり残念だった。
こうなると、カール・ラーションの〝わたしの家〟の原画を見たくなる。ストックホルムに戻って帰国前日に国立美術館を訪ねた。美術館の大階段から見渡せる両側の壁面にいきなりカール・ラーションの大壁画。さらに探し回ると一角にカール・ラーションのコーナーがあった。期待通り〝わたしの家〟原画が6点展示されていて、その中にアートショップで購入した一枚も展示されていた。
スウェーデンのひとりの画家を知ったことは、旅の良い思い出になった。購入したラーションの絵(印刷物)は、帰国してから額装して我が家の食卓の壁面に飾ってある。