内装を変えた我が家のトイレに飾る版画にと、儀間比呂志の作品を購入した。壺屋は那覇市内の焼物(やちむん)のまち。
儀間さんは沖縄出身だが、戦後、大阪に出てこられた。知る限り、晩年は大阪狭山市に住まわれた。大阪に住まわれてはいるが、沖縄をテーマにした版画をつくり続ける方として随分昔からお名前も作品も存じ上げている。
2016年の春、職場に儀間姓の若者が着任したので、「儀間比呂志って知ってる?」と尋ねると、「ぼくのおじいちゃんです。」
これも何かの縁、早速、儀間比呂志さんの版画を購入した。もちろん、とても気に入ったから。〝ふたり〟と自筆のタイトルがついている。我が家の玄関を入ったところ、真正面に飾っている。
その後、版画集〝儀間比呂志の沖縄〟も購入した。版画だけでなく儀間さんの文章や解説を読むことで、その人生やお人柄を知り、より近しい存在になった。
その翌年(2017年)に儀間比呂志さんは亡くなられた。享年94歳。儀間さんは大阪より沖縄で有名な方。沖縄の新聞はその逝去を大きく報じていた。
2018年には沖縄県立美術館で開かれた追悼展覧会に、旅の合間に立ち寄った。また、大阪狭山市に立命館大学所蔵の作品が来たときも見に行っている。
〝儀間比呂志の沖縄〟(1994年)
〜あとがきから〜
…私は、沖縄に生まれた。
戦後、軍隊から大阪に復員して44年…。この地で絵を学び、絵を描いてきた。油絵、水彩画、木彫と、いろいろやってきたが、木版画が一番多い。表現内容は、すべて「沖縄」がテーマだ。それほど私には、ふるさと・沖縄について語らなければならないことが、たくさんあったのである…。