MOMAT(モマット)とは東京国立近代美術館、Museum of Modern Art,Tokyo
その所蔵品展を観てきた。特別展や企画展に行くと、所蔵品展や常設展は駆け足で通り過ぎがち。今回のMOMATは初めからコレクション展目当てである。入場料500円ポッキリで300点をこえる充実の展示を堪能できる。
横尾忠則展、蜷川実花展という個展で、いわば毒気に当てられた体験の後のMOMAT。未知、既知のいろんな作家の作品に触れると精神が浄化され、平衡が回復される感じがする。
コレクション展はいくつかの小テーマが設定され、テーマに沿って作品がセレクトされ、展示方法にも工夫が凝らされている。
第一室は「ハイライト改めインデックス」と題され〝序曲〟の役割が与えられている。
ここでは片岡球子〝渇仰〟に出会った。
【うた詠み】
百歳をつらぬくかたち自由画の球子ころころ子どものこころ
この短歌は愛知県美術館で開催された生誕110年片岡球子展(2015年)を観た際に詠んだもの。
片岡球子の作品には、まる○、さんかく△、しかく□、ばってん✖️などの要素が多用されていて子ども心を感じる。この〝渇仰〟にも見て取れる、と思う。
第一室、入って最初に展示されているのが照屋勇賢〝告知—森〟。新収蔵作品として紹介されている。
照屋勇賢のデザイン、紅型技法を用いた美しい着物を初めて観た時の衝撃は忘れられない。型紙のアイテムが、よく見るとオスプレイや降下するパラシュート部隊だった。
沖縄出身の照屋勇賢、今は海外を拠点に活動しているという。
さて、〝告知—森〟。美しいわけでなく、わくわく感もなく、何が何だかわからない。あの紅型の着物から〝告知—森〟の間に一体何があったのか。MOMATがこの作品を収蔵する意味は何なのか。
照屋勇賢の創作の歴史がわかる個展があれば行ってみたい、と思った。