クロユリハゼの休日

やま とり うた みる きく よむ うみ など

#219. 山のボランティア

大分の由布岳に登った。f:id:kuroyurihaze:20221003200432j:image今日の正面登山道は樹林帯を抜けると日差しがきつく暑い。ゆっくり登っていても結構汗をかく。

赤シャツのおじさんに追い抜いてもらうと、このおじさんがおしゃべり好きで、後で山頂でもいろいろお話をしてくれた。

おじさんは週に二度ほど由布岳に登っているそうで、草刈り用の鎌やスズメバチ退治用の殺虫剤も持参されている。実際、下山の時はところどころで鎌で登山道を覆う草を刈っておられた。

また、山頂にあるお地蔵さんの賽銭箱の管理されていて、月一回程度、賽銭箱(缶)を回収されているそうだ。(代わりに空っぽの缶を置いていく。)「どこかの神社ですか?」と尋ねると、神社ではなく、福祉施設へ寄付として持っていくとのこと。これは意外な返答だった。f:id:kuroyurihaze:20221003202446j:image↑山頂のお地蔵さんの下が賽銭箱。お地蔵さんの左上が頂上(東峰)の山名標柱。かつて、地震でお地蔵さんが倒れた時は、セメントと水を持って登りお地蔵さんを固定したそうだ。西峰の山名標柱も傾いたりグラグラすると基礎を掘ってセメントで固めたと。ご苦労な話である。

地震で岩がゴロゴロ転がったあと、ビール瓶がたくさん出てきたとも教えてくれた。昔の人はビールを持って登り山頂で乾杯して、空瓶を岩の下に隠したらしい。そんな空瓶もおじさんは持って下りたんだろうなあ。

つまり、おじさんは山のボランティアなのである。登山者が安全に気持ちよく歩けるよう仲間とともに気を配ってくれている。考えてみれば、どの山もいつもいつも行政が整備するわけではない。むしろ、どの山にも山のボランティアがいて、リュックに鎌を忍ばせある時は草刈りをし、ある時は傾いた標識のためにセメントと水を担ぎ上げているのだろう。

そういえば、僕の記憶が正しければ、由布岳東峰西峰の分岐点の黄色い標識は、行方不明のこどもを発見して一躍有名になったあのスーパーボランティアのおじさんが設置したものだったのではないか。スーパーボランティアのおじさんも大分県の方だったはず。f:id:kuroyurihaze:20221003205447j:image