クロユリハゼの休日

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# 248 アカククリ

安野光雅展[@ハルカス美術館]

招待券を頂いたので観に行った。

安野光雅の名を聞くと必ず思い出すことがある。…絵とは関係ない話。

沖縄の海に潜っていた頃、何度かアカククリという魚に出会った。こんな魚。↓

f:id:kuroyurihaze:20231031145045j:image体長30cmで割と大きなおさかなだ。ダイビングログ(記録)を見直すと2004,05,06年に慶良間で、2014,19年に水納島の海で出会っている。慶良間の魚礁ポイントではコンクリートの魚礁の中を数尾のアカククリが静かに群れて漂っていた。アカククリという魚名については深く考えることはなかった。

ある日の新聞コラムで〝わたしは魚の名付け親〟というのが目にとまった。発信者は安野光雅さん。そのコラムで、アカククリの名付け親は安野光雅さんご自身と告白(?)されていたのだ。

その経緯は、

絵本作家になる前から本の装丁など出版に関わるお仕事をされていた安野さん。ある時、魚類学者の魚類図鑑出版をお手伝い(デザイン)することになった。魚類学者さんはあちこちの海に潜って新種を発見されていて、図鑑に載せるために名前をつけなければならなかった。…で、仲良しになった安野光雅さんに〝君、この魚の名前を考えて〟みたいなことがあったそう。4種ほど名付けた魚のうちの一種がアカククリというわけ。

〝アカククリ〟というのは印刷業界の業界用語で、文字のアウトラインを赤く囲む作業を指す言葉、すなわち〝赤括り〟だそうだ。

安野光雅さんはアカククリの幼魚の姿から〝アカククリ〟と名付けたのだ。その幼魚の姿がこれ。体長3cm↓f:id:kuroyurihaze:20231031152231j:image真っ黒な身体が見事に赤線でくくられている。毒をもつヒラムシに擬態しているらしい。魚類の仲間は幼魚と成魚で大きく姿を変えることが珍しくない。〝アカククリ〟のようにインパクトの強い幼魚も多いので、〝幼魚図鑑〟という図鑑があるほどだ。

残念ながら僕は〝アカククリ〟幼魚に出会ったことはないが、有名な幼魚なので一応は知っていた。たしかに成魚の姿からこの名前は想像できない。

 

※追記:この話題、以前も書いていました。

     すっかり忘れてる。^^;

しかも、アカククリ幼魚、一回だけ会ってました。2002年9月15日(水納島

   

       ま、いいか。

 

 

安野光雅展の最後の方で本の装丁や演劇ポスターの展示があった。全て井上ひさしに関わるもの。安野光雅井上ひさしが盟友とは初めて知った。見覚えのある本がいくつか。井上ひさしが座付き脚本家だった〝こまつ座〟の宣伝美術も担当していたとのこと。昔、〝こまつ座〟の公演を何度か観に行ったので安野光雅のポスターも見ていたかもしれない…。

覚えてないけど…。

f:id:kuroyurihaze:20231031183716j:image

↑本棚を探したら出てきた。筑摩書房宮澤賢治全集(文庫版)の装丁もすべて安野光雅だった。