クロユリハゼの休日

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# 163 秋田犬 @文殊尾根

f:id:kuroyurihaze:20210131201000j:image数日前に気温が上がり、雨もしっかり降った。今日の金剛山、雪や樹氷は期待できない。

 

ひょっとしたら霧氷がと思い、ババ谷から文殊尾根を登ったが山頂でさえ気温が0℃。風もほとんどなくこの時期としては暖かい金剛山

 

前回と同じく国見広場裏で昼食を取ってから千早園地へ。情報板に〝1/21福寿草開花〟とあったので、シャクナゲの道を辿ると確かに咲き始めていた。雪がないのが寂しい。f:id:kuroyurihaze:20210131204023j:image旧暦の正月の頃に雪の間から顔を出して咲くので〝めでたい〟花、福寿草。もう一度、雪が降ったら見に来よう。

 

ずっと運休しているロープウェイの山上駅から文殊尾根に戻った。

 

文殊尾根は最上部に役行者が修行したとされる岩屋があり、〝岩屋文殊〟と呼ばれる。智慧の神様として信仰の対象だ。f:id:kuroyurihaze:20210131203844j:image

 

文殊尾根を下り始めると、ワンちゃん連れの登山者。犬を連れて歩く登山者はめずらしくない。しかし、なにか尋常ならざる存在感。

 

秋田犬?

 

飼い主に確認すると、やはり秋田犬だった。

力士のように足腰がどっしりして首が太く顔も大きい。重心が低く、歩く姿も他の犬とは一線を画していてほれぼれする。日本を代表する犬種、考えてみるに、本物の秋田犬に会うのは初めてではないか。昔はもっと普通に見られたらしいが、今や〝レア〟。f:id:kuroyurihaze:20210131210156j:image

 

下りも文殊尾根を選んで、よかった。

 

        [行動時間5時間半]

# 162 楢山節考

この頃は、訃報に接する度にその方に纏わる記憶が呼び覚まされることが多くなっている。

 

坂本スミ子さんの訃報に接して直ちに思い出したのは、映画「楢山節考」。

 

今村昌平監督、1983年の作品。カンヌ映画祭受賞という話題もあって映画館に観に行ったと思う。いろいろな場面が記憶に残る数少ない映画作品でもある。

 

深沢七郎原作の姥捨伝説を題材にした短編を映画化したもの。貧しい村の人々や動物は、生々しい〝生〟として描かれ、臭いさえ漂ってきそうな映像だった。村の掟に従って姥捨てを息子(緒方拳)に迫る老婆役が坂本スミ子さん。息子に背負われて姥捨ての地へ向かうシーン、村からの長い山道が母と息子の最後の時間の場面。〝姥捨て〟という語感からは程遠い必然性(〝自然〟と言っても良い)がリアリティをもって迫ってきた。村の掟という社会性の中で、人間の死はあくまで〝自然〟であることを表現したような。

 

当時、坂本スミ子が老婆役というのが意外だった。僕の中では、坂本さんは歌手の印象しかなかったし、まだお若かった。

 

ちなみに映画音楽は池辺晋一郎による。

知らず知らずのうちに池辺さんの音楽を聴いていたことになる。

 

 

 

# 161 西田哲学との出会い

ひょんな事から西田哲学に触れることになった。

年末年始に読む本を本屋で探していて、生物学者福岡伸一氏の著書が目にとまった。

 

福岡伸一、西田哲学を読む』

  〜生命をめぐる思索の旅〜 

         小学館新書(2020)

 

福岡さんの著書は、『生物と無生物のあいだ』『世界は分けてもわからない』などを以前から読んでいた。氏の専門である分子生物学の研究テーマを中心に、自身を含むさまざまな学者の研究を通して新たな発見が積み重なるさまをストーリーとして語る本だった。文章力、構成力が素晴らしく、情景描写なども印象的で、単なる科学書ではなく文学として読める。

氏の〝動的平衡〝論も興味を持って馴染んでいたので、福岡さんの生命観から西田哲学に迫る企画、これは面白そう。

 

難解な西田哲学に迫るため、西田幾多郎に精通する哲学者、池田善昭氏と福岡氏の二人がメールのやりとりをしながら膨大な対話を重ねた記録でもある。二人の苦闘ぶりを伺うことで、学者の探究心というものにも触れ得た。

 

西田哲学の深い森のうち、生命論や時間論が福岡さんの〝動的平衡〟論の生命観や時間論と一致するという。…なので、僕自身は思いがけず〝動的平衡〟論から西田哲学の中核に、いわば容易く(スキップして)近づくことができた。

 

西田哲学の根幹にヘラクレイトスのピュシスの思想の流れがある、というのも新鮮だった。ピュシスはデカルトやカントのロゴスの思想と対比される。ピュシスの重視というのは僕自身にもマッチする考え方でもあるので、この本を通じて西田幾多郎がとても身近な存在に。

 

福岡さんによる西田哲学の翻訳の試み、二人の対話による〝存在〟と〝実存〟の考察など、刺激に富む内容。西田幾多郎の文章を直接読んでも、たぶん何も分からなかっただろう。出版していただいたことに感謝。

 

 

西田幾多郎の哲学を勉強する時間をもちたい。」と合唱団を退団したHさん、この本、読んではるかなあ。

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# 160 パンダ顔のカモ

パンダガモという愛称がある渡りのカモ、ミコアイサという。

 

昨日、車を運転しながら白い鳥が見えた。しかもカンムリカイツブリのシルエットではない。たぶんミコアイサだろう。

大鳥池のカンムリカイツブリについてはこちら→https://kuroyurihaze.hatenablog.com/entry/2020/11/08/200810

 

今日は山の会で、熊取町の奥山雨山自然公園の永楽ダムの周りの山を巡るハイキング。

下山後、大鳥池に車を走らせて確認した。

 

昨日は道路からすぐのところを群れで泳いでいたのに、肉眼で見える場所に見当たらない。

しばらく見渡していると、潜水しながらせっせと食餌している一羽を見つけた。パンダ顔のオス♂f:id:kuroyurihaze:20210117191531j:image

 

ミコアイサ、やはり渡来していた。

 

潜水するとしばらくして違う場所に浮上するのだが、結構離れたところに現れる。数回の潜水で100m以上移動する感じ。水中で魚を追いかけてるんだろうな。f:id:kuroyurihaze:20210117191917j:image僕もカメラを持って追いかける。

 

それにしても一羽だけ?

 

双眼鏡で太陽光発電設備の方を探すと、設備に上陸している一羽を含め、数羽を確認。肉眼では見えない距離だ。f:id:kuroyurihaze:20210117192229j:image

 

どういうわけか、すべてオス♂。

メス♀もどこかにいるとは思う。

 

 

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f:id:kuroyurihaze:20210117193616j:image↑奥山雨山自然公園の展望台から永楽ダム。

 

 

 

# 159 ANIMALS IN ABENO HARUKAS

f:id:kuroyurihaze:20210116231657j:image三澤厚彦という方の個展。予備知識なしに観に行った。

 

立体作品ということは分かっていたが、木彫作品のイメージがなかったので意表をつかれた。木彫作品では舟越桂の人物像は最初に見た時から心を揺さぶられ、何度も個展に通った。

舟越は人物の木彫、三澤が動物の木彫作品。随分違うなあというのが最初の印象。

三澤の作品には心を揺さぶられることはない、…というか何か見えないバリアの層がまとわりついていて心が突き放されるような感覚がある。何かプラスチック的。だから意表をつかれたのだ、木彫であることに。

 

でも、似ているところもある。

〝眼〟だ。…というか〝眼〟の扱いかた。

 

仏像にも木彫が数多くある。仏像も人物像として見たとき、仏像とは〝眼〟の扱いが決定的に異なる。

 

 

f:id:kuroyurihaze:20210117000236j:image国立国際美術館蔵の舟越桂作品

舟越の人物像の〝眼〟は、遠くを見るようでいて内面を視ている。あえて外に焦点を合わせようとしない、そのような役割を担っている。

三澤の動物の〝眼〟は観る人の感情移入を遮断する役割が与えられている。目玉の位置がどれも定位置を外している。そういう〝眼〟の扱いなのだ。f:id:kuroyurihaze:20210116235131j:image

 

今回は太陽光で彫刻作品を観るスペースがあった。ANIMALを観るに相応しい。f:id:kuroyurihaze:20210116235835j:image

美術館が高層ビルのスペースを利用していることにあらためて気づけて新鮮だった。

 

 

 

 

f:id:kuroyurihaze:20210117000401j:image※三澤厚彦の木彫の材は、樟(くすのき)だそう。樟脳の匂いがするらしい。ちょっとマスクを外して匂ってみたかった。

 

 

# 158 雪の尾根歩き@三峰山

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霧氷や積雪を期待して、奈良県三杖村から三峰山(みうねやま)へ。

麓に積雪はなく、中腹から軽アイゼンをつけて登る。三畝峠から尾根を東に歩けばまもなく山頂。尾根道は10cmほどの積雪。山頂から自然林の中を少し下ると八丁平。平原の雪は吹き飛ばされて積雪はほとんどなかった。曇り空だが眺望は申し分ない。真南の迷岳が〝こっちも登りに来いよ〟とばかりにドンと鎮座していらっしゃる。

自然林は霧氷でモノクロの世界だ。f:id:kuroyurihaze:20210111213334j:image

八丁平から三畝峠に戻り、しばし思案。

ここからさっさと下ってしまうか、尾根道を西に新町峠まで歩いてから下るか。

 

 

せっかくの雪山。雪の尾根道をもう少し楽しむことに。
f:id:kuroyurihaze:20210111213346j:image🎵るんるん🎵

この尾根はずっと先、これまた樹氷が見事な高見山までつながっている。

三畝峠〜新町峠〜みつえ青少年村登山口、新町コースと名づけられたこのコース。以前は通行止めになった時期もあり少し歩きにくいところがあったが、今は整備されてとても歩きやすくなっている。雪山が初めて方でも安心して楽しめるコースだと思う。

          [行動時間6時間]

 

 

# 157 カヤクグリ @金剛山

金剛山頂、葛木神社裏のブナ林。

小鳥の餌場は、登山者が持参したエサ目当てに小鳥たちで賑わっていた。ここではヤマガラシジュウカラが多数派。人馴れしていて手のひらまで乗ってくる。加えて今日は、ヒガラ、コガラのカラ類が揃い踏み。都市公園で見ることのないコガラはとくにかわいい。登山者の足もとのおこぼれを狙ってくる。

そして、ときおりゴジュウカラが餌場に。人間とは一線を引いている。カケスも少し離れた枝から様子を見ていたが行ってしまった。

 

 

そして、カヤクグリまでやって来た。こんな間近でカヤクグリを見るのは初めて。…というか、ちゃんと見るのも初めての小鳥だ。…うれしい。f:id:kuroyurihaze:20210104212402j:image

 

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今日の金剛山、ババ谷をスタートして文殊尾根に上がり軽アイゼンを装着。尾根の最上部では、かろうじて残った霧氷に登山者の歓声があがっていた。

国見広場の上で昼食。そして、小鳥の餌場を経て千早園地というコース。細尾を下って林道に合流したところでアイゼンを外した。

アイゼン外して歩き始めて、凍結した道で派手にスッテンコロリンするオチがついてしまった。

 

          [行動時間5時間]

 

f:id:kuroyurihaze:20210104211028j:imageヤマガラf:id:kuroyurihaze:20210104211113j:image↑カヤクグリとゴジュウカラ、ツーショット。f:id:kuroyurihaze:20210104211209j:image↑コガラf:id:kuroyurihaze:20210104211243j:image

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